NIOMでは現役の歯科医師を対象に歯科材料の講習コースを年1,2回開いており、幸いにも見学する機会がありました。(2000年9月上旬)
5日間の講義と実習で構成されており、受講人数は約30名です。費用は一人8000ノルウェークローネ(10万円弱)とのこと。この時の受講生は全員スウェーデンの方でした。(講義はノルウェー語で行われています。)
座学だけでなく下記のような簡単な実習も含まれており大変有意義なコースだと実感しました。左の写真はNIOMのDr.J.E.Dahl主任研究員によるToxicology概論。
10日程度の受精卵を用いて各種歯科材料(モノマーやセメント練和液など)の刺激性を評価する。具体的には卵殻を一部開いて(写真左)、試験液を絨毛尿膜上に滴下して血流の変化や血管拡張・出血等を見る(写真右)
最も一般的なミリポアフィルターを用いた固形試料の細胞毒性評価(写真右) 写真左は実習の様子
◎手袋の透過性試験
通常のディスポ手袋が各種の溶剤、特にMMAモノマーを透過することを示す実験。前述の実習が患者に対する毒性評価であるのに対し、この実習では術者への危険性を学ぶ。ディスポ手袋の指にMMAを入れ、それを蒸留水を満たしたフラスコ内に一定時間浸漬する(写真左) 3種類の浸漬時間でどの程度手袋を通して蒸留水にMMAが浸透したかを臭いで識別する(写真右) 30秒も浸漬すれば蒸留水から明らかにMMA特有の臭いがすることから術者がMMAに暴露されていることが分かる。簡単で問題提起の意義深い実習である。