【研究内容】

◎微小部XAFS(X線吸収微細構造)解析による生体関連試料の分析

 ・X線集光用ポリキャピラリーを用いた金属含有生物試料の微小部XAFS測定 (2008年 XAFS討論会 ポスター発表)

微小部蛍光XAFS測定による肺胞洗浄液からの超硬合金成分の検出 (2009年 PFシンポジウム ポスター発表)

X線による生体組織中のチタンの状態分析

 チタンは極めて優れた生体適合性から歯科用インプラントをはじめとして生体材料として広く用いられている。筆者らはチタンインプラント周囲の軟組織中に極微量存在するチタンの化学状態を放射光を用いたX線吸収微細構造(XAFS)測定により解析した。純チタンの周囲組織から金属チタンまたは二酸化チタンと見られるTiが検出された。これはTiが溶出し組織内で再析出した可能性を示すものである。また本手法を生体内微量元素であるセレンの分析にも応用し、セレンが生体内に異物として混入した水銀や銀を含む金属粒子周囲に局在することを示した。(詳細は上のリンクをご覧下さい)

アマルガム粒子周囲のセレンの分布


口腔内金属修復物のX線分析顕微鏡による迅速分析

 金属アレルギーが疑われる患者さんで、口腔内の金属修復物に原因金属が含まれるか否かを短時間に分析する手法が求められている。試料採取においては、修復物の機能・形態を損なうことなく、必要最小限の試料を他に飛散させずに採取する必要があり、加えて多数の試料を短時間で簡便に分析する方法が求められている。筆者らは蛍光X線分析と微量サンプリング法を用いた金属元素の迅速分析法の開発を行っている。(詳細は上のリンクをご覧下さい)


X線分析顕微鏡による生体組織の観察

 走査型X線分析顕微鏡は大気雰囲気下で試料を損傷させることなく元素分布像と透過X線像を得る装置であり、各種金属材料を埋入した生体組織の観察に応用している。(詳細は上のリンクをご覧下さい)


歯科標本のQTVR(QuickTime Virtual Reality)画像の作成

【2002年研究実習 宍戸 晶さん研究成果】 QTVR Objectは物体の全方位からの画像を一つのムービーファイルにまとめて、ムービープレーヤー上で観察方向を操作して任意の方向から物体を観察することが出来るので、標本の観察など教育面でも有効であると考えられます。本研究ではデジタルカメラや電子顕微鏡を用いて撮影・加工した歯科用標本などのQTVR Object画像を公開しています。


◎リン酸塩ガラスを用いた生体材料の開発

 リン酸塩を主成分とするガラスはP2O5をガラス形成成分とするため水溶性である。また、ガラス組成によって溶解速度を制御することが可能であり、ガラスに含まれる成分も本来生体内にあるNa,K,Ca,Pなどであるため為害性が少ない。そこでリン酸塩系ガラスは生体分解吸収性材料として応用可能と考えられる。
これまでに、組成による溶解速度の変化や歯髄細胞を用いた細胞毒性評価を行っている。


◎ゾルーゲル法による各種歯科材料のコーティング

 ゾルーゲル法は液相からのガラス、セラミックスの合成法として注目されており、金属アルコキシド等の有機金属化合物を加水分解・脱水縮合反応を経て均質なゲル体とし、これを焼成する事でガラス、セラミックスを得る方法である。この方法では溶融や焼結過程の様な高温プロセスを経ないため、有機物を含有したガラスなどを作成する事が可能である。また液体原料を使用するため成型性に優れており、ファイバーやコーティングによる薄膜の作製法としても注目されている。特に本法によれば各種材質表面に容易に均質な薄膜を形成し表面性状を変化させる事が可能である。
そこでゾルーゲル法を用いて各種歯科材料(特に金属)の表面に薄膜をディップコーティング法により形成し、コーティング条件による膜の特性の変化を調査している。


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